「情報系に進みたい。ロボットや電子回路にもちょっと興味がある」。そんな人にぜひ知ってほしいのが、電気通信大学(電通大)の「情報理工学域」です。
電通大には「学部」の代わりに「学域」があり、情報系から電子・機械・物理系までが一つにまとまっています。入学するときは、「Ⅰ類(情報系)」「Ⅱ類(融合系)」「Ⅲ類(理工系)」の3つから選びます。
この記事は、2027年度入試を受ける人向けに、大学が公表している「2027年度 情報理工学域 入学者選抜要項」をもとにまとめました。出願する前には、必ず大学の公式サイトで最新の募集要項を確認してください。
① 特徴:3つの類 × 5つのプログラムで、自分の「好き」を探せる
情報理工学域には3つの類があり、それぞれに5つずつ、全部で15の「専門教育プログラム」があります。
| 類 | どんなことを学ぶ? | 5つのプログラム |
|---|---|---|
| Ⅰ類(情報系) | コンピュータやアルゴリズム、プログラムなど、情報分野の土台を学んでから専門へ進む | メディア情報学、経営・社会情報学、情報数理工学、コンピュータサイエンス、デザイン思考・データサイエンス |
| Ⅱ類(融合系) | 通信機器や計測機器、ロボットなど「ものづくり」を意識して、ハードウェアとAIなどのソフトウェアの両方を学ぶ | セキュリティ情報学、情報通信工学、電子情報学、計測・制御システム、先端ロボティクス |
| Ⅲ類(理工系) | 物理・化学・数学を基礎からしっかり学び、実験や演習で実践力をつける | 機械システム、電子工学、光工学、物理工学、化学生命工学 |
大学の方針は、「学生自らが,成長にあわせて段階的・探究的に専門分野を選択し」ていくことです。入学した時点で、細かい専門まで決めきらなくていいのが電通大のいいところです。
ほかの大学の情報学部と比べると、情報系のⅠ類だけでなく、ハードウェア寄りのⅡ類や理工学寄りのⅢ類まで選べるのが大きな特徴です。
ちなみに、夜間に学ぶ「先端工学基礎課程(夜間主コース)」もあります(募集30名、総合型選抜のみ)。主に働きながら学ぶ社会人などが対象になります。
② 学べること:はじめは幅広く、2年生の後半から専門へ
1年生のうちは、全学共通科目を中心に、情報学・理工学の基礎を幅広く学びます。専門教育プログラムに分かれるのは2年次の後学期からで、研究室に入るのは4年生です。自分の類やプログラム以外の授業も、幅広く受けられます。
プログラムの決め方は類によって違います。たとえばⅡ類では、本人の希望と成績(GPA)で決まり、希望者が定員を超えたときは成績の高い人から順に決まります。1年生のうちから、授業をしっかり受けておくことが大事です。なお、学校推薦型選抜で入学した人は、入学したときからプログラムが決まっています。
どんな研究ができるの?
公式サイトや要項では、たとえばこんな学びや研究が紹介されています。
- メディア情報学(Ⅰ類):磁性流体を使ったメディアアート、生成AIのアートへの応用、アニメらしい魅力をもったAI対話エージェントの開発など(児玉幸子研究室)。
- デザイン思考・データサイエンス(Ⅰ類):大学院の博士前期課程までを含めた6年一貫のカリキュラムで、統計や機械学習の理論に加え、Kaggleなどを使った演習や、毎年の実習・インターンに力を入れています。
- 機械システム(Ⅲ類):壁に人工的な波を起こす「進行波制御」で、乱流の摩擦抵抗を約70%減らせることをシミュレーションで確かめた研究(守裕也研究室)。
高校で身につけておきたいこと
入学者選抜要項には、「入学までに身につけておくのが望ましい内容」も書かれています。整理すると、次のとおりです。
| 教科 | 身につけておきたい内容(要項をもとに要約) |
|---|---|
| 情報 | 情報Ⅰの基礎知識をいろいろな問題に応用できること、プログラミングで問題を解決できること |
| 数学 | 数学Ⅲまでの履修。微積分や複素数平面の基礎 |
| 理科 | 物理(力学・電磁気学・熱・波動)と化学(化学結合、物質の構造と性質)の履修 |
| 英語 | 聞く・話す・読む・書くを総合的に使えること |
数学や物理・化学も大事にしている大学です。ただし、これは「あくまでも高等学校における学習の目安」で、「履修の有無でもって合否判定するものではありません」とあります。
③ 入試(2027年度入試)
この大学で注目してほしいのは、共通テストで情報Ⅰが50点あるだけでなく、前期日程の個別試験では、理科の科目として「情報」を選べます。
一般選抜の配点
| 区分 | 前期日程 | 後期日程 |
|---|---|---|
| 共通テスト:国語 | 100 | 50 |
| 共通テスト:地理歴史・公民 | 50 | 50 |
| 共通テスト:数学 | 100 | 50 |
| 共通テスト:理科 | 100 | 100 |
| 共通テスト:情報Ⅰ | 50 | 50 |
| 共通テスト:外国語 | 100 | 50 |
| 共通テストの合計 | 500 | 350 |
| 個別学力検査:数学 | 200 | 300 |
| 個別学力検査:理科 | 200(物理・化学・情報から2科目、各100) | 200(物理・化学の2科目必須) |
| 個別学力検査:外国語(英語) | 100 | 100 |
| 個別学力検査の合計 | 500 | 600 |
| 総合点 | 1000 | 950 |
- 共通テストは3つの類とも同じで6教科8科目です。国語、地理歴史・公民から1科目、数学2科目、理科2科目(物理・化学・生物・地学から)、外国語、情報Ⅰを受けます。
- 前期の個別試験の理科は、物理・化学・情報の3科目から2科目を試験当日に選びます。「情報」の出題範囲は「情報Ⅰ:すべての範囲」です。
- 情報Ⅰが総合点に占める割合は、前期で共通テストの50点だけなら5%です。個別試験でも情報を選ぶと合計150点になり、15%まで上がります。後期は50÷950で約5%です。
- 共通テストの英語は、リーディング100点を150点、リスニング100点を50点に換算したうえで、前期は1/2、後期は1/4にします。
- 試験科目と配点は、3つの類ですべて同じです。
合否の決まり方
一般選抜では類ごとに出願し、第2志望の類まで書けます。合否は、類ごとではなく学域全体での成績の順位で決まります。
まず、個別試験の得点が高い人は、前期45人以内・後期30人以内で、第1志望の類に優先的に合格します。そのあとは、総得点の順位と志望の順番で類が決まります。志望した類が定員に達していると、成績が上位でも不合格になることがあるので注意してください。
募集人員
| 類 | 入学定員 | 前期日程 | 後期日程 | 学校推薦型 | 総合型 |
|---|---|---|---|---|---|
| Ⅰ類(情報系) | 255名 | 126名 | 96名 | 26名 | 7名 |
| Ⅱ類(融合系) | 235名 | 114名 | 89名 | 25名 | 7名 |
| Ⅲ類(理工系) | 230名 | 114名 | 85名 | 24名 | 7名 |
2027年度の募集人員・試験科目・配点は、2026年度から変わっていません。
学校推薦型は「プログラムごと」の募集で、1つのプログラムにつき4〜6名です。Ⅰ類のデザイン思考・データサイエンスプログラム(5名)は女子枠です。
私費外国人留学生(若干名)は、前期日程の人数に含まれます。
学校推薦型で欠員が出た分は後期日程に、総合型の欠員は前期日程に回ります。
入試日程
| 選抜 | 出願 | 試験 | 合格発表 |
|---|---|---|---|
| 一般選抜前期 | 2027年1月25日〜2月3日 | 2027年2月25日 | 2027年3月6日 |
| 一般選抜後期 | 2027年1月25日〜2月3日 | 2027年3月12日 | 2027年3月21日 |
| 学校推薦型 | 2026年11月2日〜5日 | 2026年11月17日(面接は18日) | 2026年12月2日 |
| 総合型 | 2026年9月1日〜3日 | 第一次 2026年9月15日/第二次 2026年10月20日 | 第一次 2026年10月5日/最終 2026年11月2日 |
| 3月21日 |
大学入学共通テストは2027年1月16日・17日です。入学手続の期間は、11月上旬に公開予定の「一般選抜 学生募集要項」で確認してください。
個別学力検査の科目(一般選抜)
- 前期:数学(120分)、理科(物理・化学・情報から2科目、合わせて120分)、英語(90分)
- 後期:数学(150分)、理科(物理・化学の2科目、120分)、英語(90分)
- 数学の範囲は、前期・後期とも数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Aはすべて、数学Bは「数列」、数学Cは「ベクトル」と「平面上の曲線と複素数平面」です。
学校推薦型選抜
- 出願のしかた:類ではなく、プログラムを選んで出願します。
- 条件:調査書の全体の学習成績の状況が4.0以上、または数学と理科の平均が4.5以上。合格したら入学することを約束できること。
- 推薦できる人数:各高校から、各類に2名までです。
- 選考:総合問題試験(数学・物理・化学・英語の内容)、面接、出願書類で総合的に判定します。Ⅰ類は、これに加えて基礎学力検査(CBT)と非認知能力調査(CBT)があります。
- コンテストの実績:類ごとに決めた分野のコンテストでの受賞歴は、評価に反映されます。
総合型選抜(各類7名)
合格したら入学することが条件です。第一次は書類選考(Ⅰ類はCBTもあり)、第二次はプレゼンテーションと面接・口頭試問です。提出するものは、類ごとに違います。
| 類 | 提出するもの |
|---|---|
| Ⅰ類 | プログラミング、デジタルものづくり、データ分析などの成果をまとめた「特別活動レポート」と、活動内容のPR動画(3分以内) |
| Ⅱ類 | UECスクールへの参加、コンテスト(科学の甲子園、ロボカップジュニアジャパンなど)、資格などの活動実績と、自己PR動画(3分以内) |
| Ⅲ類 | UECスクールへの参加などの活動実績と、高校で取り組んだ理工学に関する代表的な研究の内容(動画は不要) |
④ 向いている人:数学や理科が好きで、「作る」ことにワクワクする人
大学が求めるのは、「自然科学および数学に強い興味と探究心を持ち」、基礎学力と論理的な思考力・判断力・表現力をもって、いろいろな人と協力しながら主体的に学ぼうとする人です。科学技術コンテストなどに参加した人や受賞した人も歓迎しています。
⑤ 卒業後:約7割が大学院へ
電気大学の公式サイトによると、卒業生の約7割が大学院に進み、その9割強が電通大の大学院に進学しています。学部の4年間だけでなく、大学院までの6年間で学ぶイメージを持っておくとよさそうです。
主な就職先(令和7年度=2026年3月卒業・修了)
- 学部を卒業してすぐ就職した人:NECソリューションイノベータ(4名)、BREXA Technology(4名)、日本電営(3名)、NTTドコモ、NTTドコモソリューションズ、NTTデータグループ、日立システムズ、システムサイエンス研究所、大和総研、東海旅客鉄道、地方公務員(各 2名)など
- 大学院修了者も含めた全体:NTTドコモ(22名)、本田技研工業(13名)、日立製作所(12名)、NTTデータ(10名)、日本電気(10名)、キヤノン(9名)、三菱電機(9名)など
大手企業に就職している人の多くは、大学院を修了した人です。就職先を見るときは、「学部卒」と「大学院卒」を分けて見るのがポイントです。


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