ITパスポートに合格して、「思っていたより情報Ⅰの知識が役に立った」と感じた人には、次のステップとして基本情報技術者試験をおすすめしたいと思います。
基本情報技術者試験は、ITパスポートよりも一段専門性が高く、特に情報系の学部を目指す人にとっては、進路選びの本気度を示せる資格です。この記事では、基本情報技術者試験がどんな試験なのか、情報Ⅰ・情報IIの内容とどう関係しているのか、そしてITパスポートとの違いも含めて、高校生の視点から整理していきます。
基本情報技術者試験とはどんな試験か
基本情報技術者試験は、ITパスポートと同じく経済産業省認定の国家資格「情報処理技術者試験」のひとつですが、ITパスポートより一段レベルが上がり、ITエンジニアを目指す人の登竜門とされる試験です。
試験は「科目A」と「科目B」の2部構成で、両方とも同じ日に受けます。科目Aは90分で60問、経営戦略からネットワーク、セキュリティまで幅広い知識を問う内容です。科目Bは100分で20問、こちらはアルゴリズムとプログラミングに特化していて、特定のプログラミング言語ではなく「擬似言語」と呼ばれる共通の疑似コードで出題されます。採点はIRT(項目応答理論)という方式で、単純な正答率ではなく問題の難易度も加味して1000点満点中600点以上が合格ラインです。ITパスポートと同じくCBT方式・通年実施で、合格率はおおむね4割とされています。
情報Ⅰ・情報IIとの対応関係
一番つながりが深いのは科目Bです。情報Ⅰで学んだ順次・分岐・反復や配列の扱いといったプログラミングの基礎は、科目Bの擬似言語問題の土台そのものです。情報Ⅰでプログラミングをひととおり経験していれば、擬似言語の読み方自体には戸惑わないはずです。
ただし、科目Bで問われるアルゴリズムの複雑さは、情報Ⅰの授業で扱う範囲を超えています。特に配点の多くを占める「アルゴリズム」分野は、情報Ⅰの知識だけでスラスラ解けるレベルではなく、専用の対策がほぼ必須です。情報IIを履修していれば、より発展的なアルゴリズムやデータ構造に触れている分、多少のアドバンテージにはなりますが、それでも別途の演習は欠かせません。
科目Aについても同様です。テクノロジ系の一部は情報Ⅰと重なりますが、経営戦略やプロジェクトマネジメントといったストラテジ系・マネジメント系の比重がITパスポートよりさらに増えるため、情報Ⅰの復習だけで太刀打ちできる試験ではない、という点はあらかじめ理解しておいた方がいいでしょう。
ITパスポートとの違い
両者の違いを整理すると、次のようになります。
| ITパスポート | 基本情報技術者試験 | |
|---|---|---|
| 位置づけ | IT国家試験の入門レベル | エンジニアを目指す人の登竜門 |
| 試験構成 | 100問・120分(四肢択一) | 科目A:60問・90分/科目B:20問・100分 |
| プログラミング | 出題されない | 科目Bで擬似言語による出題が中心 |
| 合格率 | 約50% | 約40〜45% |
| 勉強時間の目安 | 50〜100時間 | 200〜300時間 |
| 受験料 | 7,500円 | 7,500円 |
受験料はどちらも同じですが、試験時間・出題内容・必要な勉強量のいずれも基本情報の方が重くなります。とはいえ受験資格に制限はなく、ITパスポートを経ずにいきなり基本情報に挑戦することも可能です。情報Ⅰのプログラミングに苦手意識がなければ、ITパスポートを飛ばして基本情報から挑戦するという選択肢も十分にありえます。
高校生が基本情報に挑戦する意味
基本情報技術者試験も、大学入試そのもので優遇を受けられる場面があります。ITパスポートより専門性の高い資格である分、対象にしている大学や学部はITパスポートより絞られますが、その分「本気度の証明」として扱われやすい面もあります。
情報処理推進機構(IPA)が2025年4月にまとめた調査によると、基本情報技術者試験を入試優遇に活用している大学は、ITパスポートほど数は多くないものの全国に存在します。「入試優遇」の中身は、学科試験の一部免除、学校推薦型選抜・総合型選抜での加点要素、出願書類審査や面接での評価対象、出願条件そのもの、学費・入学金の減免など、ITパスポートと同じようにいくつかのパターンに分かれます。
具体的な例を挙げると、桜美林大学の2027年度入試ガイドでは、公募制学校推薦型選抜(専願推薦)において、評定平均値が出願基準に届かない場合でも、情報処理技術者試験(ITパスポートや基本情報技術者を含む)を保有していれば出願できる制度が明記されています(出願初日からさかのぼって2年以内に取得したものが対象)。志望校がある場合は、必ずその大学の最新の入学試験要項やデジタルパンフレットで、基本情報技術者試験がどう扱われているかを直接確認してください。
基本情報技術者試験で優遇される大学10選
| 大学名 | 対象学部 |
|---|---|
| 中央大学 | 理工学部 |
| 駒澤大学 | 経済学部、グローバル・メディア・スタディーズ学部 |
| 東洋大学 | 総合情報学部(システム情報専攻) |
| 帝京大学 | 理工学部総合理工学科・データサイエンス学科(ITパスポートより対象が狭い) |
| 愛知大学 | 経済学部、経営学部 |
| 関西学院大学 | 商学部 |
| 甲南大学 | 経営学部、知能情報学部 |
| 熊本大学 | 文・法・理・工学部 |
| 山口大学 | 理学部物理・情報科学科、工学部、経済学部 |
| 高知大学 | 医学部、理工学部 |
また、基本情報は大学の情報系学部で1年次に習うような内容と重なる部分が多く、合格していれば入学後の授業を先取りした状態でスタートできます。何より、高校生のうちに基本情報技術者試験に合格している人は、社会人でもそう多くありません。それ自体が周囲との差別化になる、という点も付け加えておきたいと思います。
費用と勉強時間の目安
受験料は7,500円で、ITパスポートと同額です。勉強時間の目安は200〜300時間と、ITパスポートの2倍近くになります。特に科目Bのアルゴリズム対策に時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールを組んでおくのが安全です。
いつ・どう挑戦するか
基本の考え方はITパスポートと同じで、情報Ⅰをひととおり履修した後、さらなるスキルアップとして挑戦するのがおすすめです。科目Bの対策にまとまった時間が必要になるので、部活動や定期テストが落ち着いている時期を選んで、逆算で学習計画を立てるとよいでしょう。
一点、現時点(2026年9月)で注意しておきたいのが、CBT方式の試験実施スケジュールです。IPAは、ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者試験の試験実施を一時休止し、2027年度から新しい試験制度に移行する方針を示しています。この記事を書いている時点では、2026年12月28日以降に試験の休止を予定されていますが、今後さらに変わる可能性があります。受験を計画する際は必ずIPAの公式サイトで最新の実施状況を確認してください。
勉強法
科目Aは、情報Ⅰの復習に加えて市販の参考書で経営・法務系の知識を補えば、ITパスポートの対策と大きくは変わりません。参考書で用語のインプットをし、過去問演習で仕上げていく流れです。
合否を分けるのは科目Bです。アルゴリズムは読むだけで身につく分野ではないので、実際に手を動かして擬似言語の処理の流れを一行ずつ追う練習を繰り返すことが欠かせません。最初は簡単な問題でも時間がかかりますが、繰り返すうちにパターンが見えてきます。時間配分の感覚をつかむためにも、ある程度仕上がってきたら時間を計って本番同様に解く練習も取り入れてみてください。
参考書選びに迷ったら、以下から手に取ってみてください。
まとめ
基本情報技術者試験は、ITパスポートよりも専門性が高く、特に情報系学部を目指す高校生にとっては、入試優遇や大学の授業の先取りといった形で進路に直結しやすい資格です。科目Bのアルゴリズム対策にまとまった学習時間が必要になる分、情報Ⅰを履修し終えたタイミングから計画的に取り組むのがおすすめです。
まだITパスポートに挑戦していない人は、先にそちらから始めるのも一つの手です。ITパスポートについては別の記事で詳しく紹介しているので、あわせて読んでみてください。


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