南山大学では2025年度入試から、理工学部の全学統一入試で「情報」を選べるようになりました。この記事では、2025・2026年度の出題をもとに、試験の形式、出題の傾向、対策の仕方を解説します。大学が発表した2028年度からの変更点もまとめました。
南山大学で「情報」を使える入試
南山大学が「情報」の試験を導入したのは、2025年度入試からです。2023年10月に大学が発表したもので、理工学部の全学統一入試(個別学力試験型)で、それまで「理科」だった教科が「理科・情報」に変わりました。物理(物理基礎、物理)、化学(化学基礎、化学)、情報Iの中から、大問ごとに選んで解く形式です。
2027年度入試でも、情報を使える個別試験は全学統一入試(個別学力試験型)だけです。対象は理工学部の4学科です。試験日は2027年2月6日(土)と7日(日)、合格発表は2月20日です。理工学部は「理系選択」の時間割で受験します。他の学部は文系選択のみなので、情報は使えません。
配点は学科によって違い、合計はどの学科も550点です。
| 学科 | 理科・情報 | 数学 | 外国語 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 機械システム工学 | 250点 | 200点 | 100点 | 550点 |
| ソフトウェア工学 | 200点 | 200点 | 150点 | 550点 |
| 電子情報工学 | 150点 | 250点 | 150点 | 550点 |
| データサイエンス | 150点 | 300点 | 100点 | 550点 |
理科・情報の比重がいちばん高いのは機械システム工学科で、合計の約半分を占めます。データサイエンス学科は数学が300点と重く、理科・情報は150点です。志望学科の配点を確かめてから対策の比重を決めましょう。
一方で、「全学統一入試以外の個別の入試でも情報が使えるようになる」のは、2028年度入試からです。2026年3月に大学が発表した予告によると、2028年度から理工学部の一般入試で、教科が「理科」から「理科・情報」に変わり、情報Iが加わります。同じ年度から、全学統一入試の理系選択では化学が出題範囲から外れ、「物理」か「情報I」のどちらかを選ぶ形になります。配点などの詳細は、2027年4月以降に発表される予定です。
2027年度の一般入試(3教科型)では、理工学部の理科は「物理基礎、物理」「化学基礎、化学」から大問ごとに選ぶ形です。情報はまだ含まれていません。一般入試で情報を使いたい人は、2028年度入試からが対象になります。
| 入試年度 | 入試方式 | 変更内容 |
|---|---|---|
| 2028年度(予定) | 一般入試(理工学部) | 「理科」から「理科・情報」に。情報Iを追加 |
| 2028年度(予定) | 全学統一入試(理系選択) | 化学を出題範囲から除外。物理か情報Iを選択 |
| 2025年度 | 全学統一入試(個別学力試験型)理工学部 | 「理科」から「理科・情報」に。物理・化学・情報Iから大問ごとに選択 |
| 2025年度 | 共通テスト利用入試(前期5教科型)理工学部 | 5教科に「情報」を加えて6教科に |
2028年度入試を受けるのは、2026年度に高校2年生の人たちです。理工学部を志望するなら、情報を使える入試が増える分、情報で受験する選択肢はこれまで以上に広がります。
試験の形式:60分で「I」と「II」から1問ずつ選ぶ
2026年度の全学統一入試(理系型)では、「理科・情報」の試験時間は60分でした。問題はIとIIの2つのグループに分かれていて、Iからは「物理I・化学I・情報I」のどれか1つ、IIからは「物理II・化学II・情報II」のどれか1つを選んで解きます。
ここで誤解しやすいのが、「情報I」「情報II」という名前です。これは問題の区分の名前で、高校の科目名とは別物です。出題範囲はどちらも高校の科目「情報I」の範囲で、科目「情報II」を履修していなくても解けます。
IとIIで別の科目を選ぶこともできるので、たとえば「情報I+物理II」のように、情報と理科を組み合わせて受験できます。ただし、Iの中で複数の科目を選んだり、設問を混ぜて解いたりすることはできません。解答紙の選択欄に○を付け忘れると点数が与えられないので、本番では注意しましょう。
60分で2つの大問を解くので、単純に計算すると1問30分です。
2025年度と2026年度の出題内容
情報の試験は、これまでに2回行われています。大学が公表している「出題の意図」をもとに、各年度の題材と問われた力を並べると、次のようになります。
| 区分 | 2026年度 | 2025年度 |
|---|---|---|
| 情報I 問1 | ビット列の表現を題材に、信号処理の基礎力 | 集団の持久走のタイムを題材に、データ分析の基礎力 |
| 情報I 問2 | 商取引を題材に、セキュリティの基礎力 | 加算器の回路を題材に、論理回路と演算の基礎力 |
| 情報II | 数列の出力を題材に、アルゴリズムの基礎力 | 素数の判定を題材に、プログラミングの基礎力 |
情報IIは2年続けてプログラミングやアルゴリズムの問題でした。2025年度は素数の判定、2026年度は3の倍数の数列と、どちらも整数の性質を題材にしています。情報IIは「数学的な題材をアルゴリズムで処理する問題」が出題されやすいようです。
一方、情報Iの2問は違う分野から出ています。2025年度はデータ分析と論理回路、2026年度は符号化とセキュリティで、重なりはありません。情報Iは教科書の幅広い分野から出題されると考えて準備しましょう。まだ出ていない分野としては、ネットワークの仕組み(IPアドレスやプロトコル)、情報デザイン、モデル化とシミュレーションなどがあります。
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出題形式の特徴
共通テストと違い、マーク式ではなく、すべて記述式です。2026年度の問題では、数値を答える計算問題、用語を答える問題、選択肢から選ぶ問題、理由を説明する問題がありました。
情報Iは計算の途中は採点されません。その中で問1の(7)(8)の2問が、「特徴を説明しなさい」「理由を説明しなさい」という文章で答える問題でした。用語を知っているだけでは書けず、「なぜそうなるのか」を自分の言葉で表せるかが問われています。
情報IIは、フローチャートの空欄を埋める問題が中心でした。ただし問4と問5では「導出過程も示しなさい」と指示されていて、答えだけでなく、その解答になる理由も書かなければいけません。変数の値を表にして追う練習に加えて、その過程を文章にする練習も必要です。
難易度と時間配分
出題内容は、教科書をもとにされています。大学の出題の意図でも、「基礎力を問う」と書かれています。
ただし、「なんとなく知っている」では得点できない問いが含まれています。2026年度で言えば、可変長符号が一通りに復号できない理由、二段階認証と二要素認証の違い、デジタル署名で秘密鍵と公開鍵の役割が暗号化と逆になること、フローチャートのくり返し回数の数え方などが、差がつきやすいところでした。
時間配分は、理科・情報の60分を2つの大問で分けるので、1問30分が目安です。情報Iは設問数が多いものの、一つひとつは短く答えられます。先に情報Iを終わらせて、導出過程を書く情報IIに時間を残すのがおすすめです。
分野別の対策
情報I:教科書の全分野を「説明できる」レベルに
情報Iは毎年分野が変わっているので、教科書を一通り漏れなく確認しましょう。そのうえで、用語を覚えるだけでなく「なぜそうなるのか」を人に説明できるようにしましょう。
情報II:変数を追い、過程を文章にする
情報IIは、フローチャートやプログラムを読んで、変数の値がどう変わるかを表に書き出す練習が基本です。くり返しを考えるときは、「初期値」「くり返す条件」「増やす量」の3つをセットで決めると整理しやすくなります。配列の添字、割り算の余り、倍数や素数の判定は、2年分の問題にも出ているので、できるようにしておきたいところです。
導出過程を書く問題では、具体的な値を2、3個当てはめて確かめたことを書くと、採点者に考え方が伝わります。問題集を解くときも、答えが合っていたら終わりにせず、「なぜその答えになるのか」を書く練習をしておおきましょう。
理科と情報、どちらを選ぶか
情報を選ぶ利点は、共通テストの「情報I」の勉強がそのまま生きることです。南山大学の共通テスト利用入試(前期5教科型)でも情報が課されます。併用する人にとっては効率のよい選択です。理工学部にはソフトウェア工学科やデータサイエンス学科があるので、入学後の学びにもつながります。
一方で、情報は過去問がまだ2年分しかなく、市販の問題集も物理や化学に比べると少ないのが現状です。記述式の練習は、学校の先生に答案を見てもらうなどして、自分で機会を作る必要があります。物理や化学をすでに得意科目にしている人なら、無理に切り替える必要はありません。
IとIIで別の科目を選べるのも、この入試の特徴です。たとえば、知識と理解が中心の情報Iだけを情報で受け、IIは得意な物理で受けるということもできます。
まとめ
南山大学の「情報」は2025年度に始まったばかりの試験ですが、2028年度からは理工学部の一般入試にも広がり、情報で受験できる機会は増えていきます。問題は教科書の基本が中心ですが、全問記述式で、理由や導出過程まで書かせる問いもあります。教科書の全分野を「説明できる」レベルまで固め、フローチャートで変数を追う練習を重ねておきましょう。
2026年度の問題の答えと解き方は、「【2026年度】南山大学「情報」過去問の解答・解説」の記事で、図を使って解説しています。配点や試験日程は年度ごとに変わるので、最終的には南山大学の入試要項で確かめてください。
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