静岡大学の「情報学部」ってどんなところ?
静岡大学情報学部は、日本の国立大学で初めての情報学部として1995年に創設され、「文工融合」を掲げて情報学を社会につなげる人材育成を進めてきました。
現在は、情報科学科・行動情報学科・情報社会学科の3学科体制で、AI・IoTなどの技術から、データサイエンス、情報社会のデザインまで、幅広い情報学を学ぶことができます。
学科構成(3学科)
情報科学科は、情報科学を基礎から応用まで幅広く学び、社会の未来をつくる学科です。
AIやIoTなどの最先端技術を支える情報科学を体系的に学び、技術だけでなく人や社会との関わりまで視野に入れた教育が行われています。
行動情報学科は、人間の行動データを分析・活用し、社会に役立つ情報システムやサービスを創出することを目指す学科です。
テクノロジーだけでなく、人間の行動や心理、組織や社会の仕組みなど、幅広い視点から情報を扱います。
情報社会学科では、法学・経済学・社会学・政治学といった社会科学に加えて、哲学や倫理学、メディア学、文化人類学など人文科学の視点も取り入れながら、「情報社会」を多面的に考察・分析する力を育てます。
学科名 | 主な学び | 進学元(入試区分) |
---|---|---|
情報科学科 | 情報科学・プログラミング・認知科学など | 理系 |
行動情報学科 | データサイエンス・行動情報学・情報システムなど | 文理融合 |
情報社会学科 | データサイエンス、メディア学、情報セキュリティなど | 文理融合 |
カリキュラム
全学必修科目
情報社会における倫理的な考え方・行動を学ぶ情報モラルや、情報学全体の概要や意義を理解し、学びの土台をつくる情報学基礎、情報学全体の概要や意義を理解し、学びの土台をつくる情報処理基礎などの科目を学ぶ
→ 情報分野で活躍するための最低限かつ重要な知識とスキルを全員が習得します。
情報科学科のカリキュラムの特徴
急速な進化に対応した柔軟なカリキュラム
- 情報科学の進化と拡大に対応し、最新の技術や分野も横断的に学習できる構成。
- コンピュータ科学を中心に、幅広い分野に対応。
基礎から応用まで段階的に学べる
- 数学的・理論的な基礎(情報の数理)からスタート。
- ITの中核技術(ハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク・データベース)を少人数制でしっかり学習。さらに、実験・演習重視のグループワークで実践力も養成。
行動情報学科のカリキュラムの特徴
情報社会に必要な総合的スキルを修得
- ITスキル(基礎)や、人工知能技術・ITシステム開発力、データ分析力、グローバルなマネジメント力などを養成。
→ 情報を使って社会にイノベーションを起こす力を育てる。
実践型授業で課題解決力を養う
- アクティブラーニングやPBL(Project-Based Learning)を活用。
- 文系・理系の枠を超えた学び方で、実社会に近い形で課題に取り組む。
→ 実践的なスキルと柔軟な思考力が身につく。
多彩な専門分野×実社会に直結した研究指導
- 幅広い研究分野を持つ教員が、最新テーマや分野横断の研究をサポート。
- 企業勤務経験のある教員から、実社会に直結した視点の指導が受けられる。
→ 進路選択にも直結する実践的な卒業研究が可能。
情報社会学科
多様な人文社会科学分野から「情報」を学べる
「メディア/コミュニケーション」「ソサエティ/公共」「ライフ/コミュニティ」という3つの学びの系が用意されており、幅広く複数の分野を横断的に学ぶことも、特定の系を深く掘り下げることも可能。
専門的なデータサイエンス教育がある
情報社会の現象を分析するための数理的・統計的スキルを無理なく習得できるカリキュラムを備えている。
情報技術に関する基礎知識も他学科の共通科目を通じて得られるため、文系的な学びに加えて技術的視点も取り入れられる。
入試情報(2026年度入試)
一般選抜 前期日程の入試科目・配点
情報科学科
大学入学共通テスト (625点満点)
- 国語: 国語 (150点)
- 地歴公民: 地理総合、地理探究 / 歴史総合、日本史探究 / 歴史総合、世界史探究 / 公共、倫理 / 公共、政治・経済 / 地理総合、歴史総合、公共 から1科目選択 (25点)
- 数学: 数学I・A、数学II・B・C (各100点)
- 理科: 物理、化学、生物、地学 から2科目選択 (第1解答科目50点、第2解答科目25点)
- 外国語: 英語(リーディングとリスニングの配点比率 3:1)、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語 から1科目選択 (150点)
- 情報: 情報I (25点)
個別学力試験 (550点満点)
- 数学I・II・III、数学A・B・C (300点)
- 外国語(英語) (250点)
行動情報学科
大学入学共通テスト (1000点満点)
- 国語: 国語 (150点)
- 地歴公民: 地理総合、地理探究 / 歴史総合、日本史探究 / 歴史総合、世界史探究 / 公共、倫理 / 公共、政治・経済 / 地理総合、歴史総合、公共から選択 (各100点)
- 数学: 数学I・A、数学II・B・C (各100点)
- 理科: 物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎 から2分野選択 (2分野で1科目とする) または物理、化学、生物、地学 から選択(各100点)
- 外国語: 英語(リーディングとリスニングの配点比率 3:1)、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語 から1科目選択 (250点)
- 情報: 情報I (100点)
※地歴公民・理科から3科目選択。
理科は「基礎2分野」「発展1科目」「発展2科目」のいずれかを選択。
個別学力試験 (400点満点)
- 外国語(英語) (200点)
- 総合問題(200点)
※総合問題は、「情報Ⅰ」(情報社会の問題解決,コミュニケーションと情報デザイン,コンピュータとプログラミング,情報通信ネットワークとデータの活用)、「現代の国語」(情報の扱い方に関する事項)、「数学Ⅰ」(データの分析)、「数学A」(場合の数と確率)、「数学B」(統計的な推測)を中心に、現実的課題に関連したデータ分析に関する問題を出題し、学科の特性にあった総合的な能力を評価します。
情報社会学科
大学入学共通テスト (900点満点)
- 国語: 国語 (200点)
- 地歴公民: 地理総合、地理探究 / 歴史総合、日本史探究 / 歴史総合、世界史探究 / 公共、倫理 / 公共、政治・経済 / 地理総合、歴史総合、公共 から2科目選択 (第1解答科目100点、第2解答科目50点)
- 数学: 数学I・A、数学II・B・C (各100点)
- 理科: 物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎 から2分野選択 (2分野で1科目とする) (50点)
- 外国語: 英語(リーディングとリスニングの配点比率 3:1)、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語 から1科目選択 (250点)
- 情報: 情報I (50点)
※理科は基礎2分野指定だが、発展1科目でも基礎科目とみなす。
個別学力試験 (400点満点)
- 外国語(英語) (200点)
- 小論文(200点)
情報科学 | 行動情報 | 情報社会 | |
合格の目安偏差値(河合塾) | 52.5 | 47.5 | 47.5 |
共通テスト得点率(河合塾) | 68% | 64% | 66% |
個別試験配点比率 | 47% | 29% | 31% |
一般選抜 後期日程の入試科目・配点
情報科学科
大学入学共通テスト (900点満点)
- 国語: 国語 (150点)
- 地歴公民: 地理総合、地理探究 / 歴史総合、日本史探究 / 歴史総合、世界史探究 / 公共、倫理 / 公共、政治・経済 / 地理総合、歴史総合、公共 から1科目選択 (50点)
- 数学: 数学I・A、数学II・B・C (各100点)
- 理科: 物理、化学、生物、地学 から2科目選択 (第1解答科100点、第2解答科目50点)
- 外国語: 英語(リーディングとリスニングの配点比率 3:1)、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語 から1科目選択 (300点)
- 情報: 情報I (50点)
個別学力試験 (400点満点)
- 数学I・II・III、数学A・B・C (400点)
行動情報学科
大学入学共通テスト (1000点満点)
- 国語: 国語 (150点)
- 地歴公民: 地理総合、地理探究 / 歴史総合、日本史探究 / 歴史総合、世界史探究 / 公共、倫理 / 公共、政治・経済 / 地理総合、歴史総合、公共から選択 (各100点)
- 数学: 数学I・A、数学II・B・C (各100点)
- 理科: 物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎 から2分野選択 (2分野で1科目とする) または物理、化学、生物、地学 から選択(各100点)
- 外国語: 英語(リーディングとリスニングの配点比率 3:1)、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語 から1科目選択 (250点)
- 情報: 情報I (100点)
※地歴公民・理科から3科目選択。
理科は「基礎2分野」「発展1科目」「発展2科目」のいずれかを選択。
個別学力試験 (400点満点)
- 外国語(英語) (400点)
情報社会学科
大学入学共通テスト (740点満点)
- 国語: 国語 (150点)
- 地歴公民: 地理総合、地理探究 / 歴史総合、日本史探究 / 歴史総合、世界史探究 / 公共、倫理 / 公共、政治・経済 / 地理総合、歴史総合、公共 から2科目選択 (第1解答科目100点、第2解答科目50点)
- 数学: 数学I・A、数学II・B・C (各100点)
- 理科: 物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎 から2分野選択 (2分野で1科目とする) (50点)
- 外国語: 英語(リーディングとリスニングの配点比率 3:1)、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語 から1科目選択 (150点)
- 情報: 情報I (40点)
※理科は基礎2分野指定だが、発展1科目でも基礎科目とみなす。
個別学力試験 (500点満点)
- 外国語(英語) (500点)
情報科学 | 行動情報 | 情報社会 | |
合格の目安偏差値(河合塾) | 52.5 | 50.0 | 52.5 |
共通テスト得点率(河合塾) | 74% | 66% | 68% |
個別試験配点比率 | 31% | 40% | 29% |
学校推薦型選抜の入試科目・配点
大学入学共通テストの利用科目
情報科学科
- 国語: 国語 (50点)
- 地歴公民: 地理総合、地理探究 / 歴史総合、日本史探究 / 歴史総合、世界史探究 / 公共、倫理 / 公共、政治・経済 / 地理総合、歴史総合、公共 から選択 (各275点)
- 数学: 数学I・A、数学II・B・C (各300点)
- 理科: 物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎 から2分野選択 (2分野で1科目とする) または物理、化学、生物、地学 から選択 (各275点)
- 外国語: 英語(リーディングとリスニングの配点比率 3:1)、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語 から1科目選択 (250点)
- 情報: 情報 (50点)
- ※地歴公民・理科から3科目選択。
理科は「基礎2分野」「発展1科目」「発展2科目」のいずれかを選択。
複数の科目を受検した場合は、高得点の1科目を採用する。
行動情報学科
- 国語: 国語 (150点)
- 数学: 数学I・A、数学II・B・C (100点)
- 外国語: 英語(リーディングとリスニングの配点比率 3:1)、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語 から1科目選択 (250点)
- 情報: 情報I (100点)
情報社会学科
- 国語: 国語 (200点)
- 地歴公民: 地理総合、地理探究 / 歴史総合、日本史探究 / 歴史総合、世界史探究 / 公共、倫理 / 公共、政治・経済 / 地理総合、歴史総合、公共 から選択 (100点)
- 数学: 数学I・A、数学II・B・C (各100点)
- 理科: 物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎 から2分野選択 (2分野で1科目とする) または物理、化学、生物、地学 から選択 (100点)
- 外国語: 英語(リーディングとリスニングの配点比率 3:1)、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語 から1科目選択 (250点)
- 情報: 情報I (40点)
※地歴公民・理科から1科目選択。
理科は「基礎2分野」「発展1科目」「発展2科目」のいずれかを選択。
複数の科目を受検した場合は、第1解答科目のうち高得点の1科目を採用する。
選抜方法
情報科学科
志願者全員に対して面接が実施されます。
大学入学共通テストの成績を150点、面接の配点を150点として評価されます。
行動情報科
志願者全員に対して課題レポートが課されます。個人レポートでは、アドミッション・ポリシーに則って、論理的思考力・理解力・表現力・問題発見能力を審査します。なお、個人レポートの前に、ミニ講義(20分程度)とグループワーク(45分程度)が行われ、グループワークの議論結果に触れながら個人レポートを書くこととなります。
大学入学共通テストの成績を350点、面接の配点を350点として評価されます。
情報社会学科
志願者全員に対して面接が実施されます。面接前に広義の情報学に関わるミニ講義(20分程度)が行われます。
大学入学共通テストの成績を500点、面接の配点を250点として評価されます。
総合型選抜の入試科目・配点
※情報科学科への志望が対象です。
選考は、第1次選考と第2次選考によって行われます。
- 第1次選考
- 基礎学力を問う試験が実施されます。英語(100点)と数学もしくは数学・情報(100点)の試験を行い、それぞれの得点は配点の50%に達しない場合は合格対象者から除外されます。
- 書類審査が行われます。配点は200点とし、情報科学科で学ぶために必要な能力・適性などを評価されます。
- 第2次選考
- 第1次選考合格者に対して面接試験が実施されます。配点は300点とし、情報科学科で学ぶための論理的思考力・理解力・問題発見能力などを評価されます。
静岡大学 情報学部のメリット
- 幅広い専門分野を段階的に学べる: 1年次には情報学共通の基礎を学び、2年次から専門分野へ導入、3年次でより深く専門性を追求する段階的なカリキュラムです。情報科学科では理系の専門知識を、行動情報学科・情報社会学科では文理融合的な視点から情報学を学ぶことができます。
- 実践的なスキル習得を重視: 講義だけでなく、手を動かしながら学ぶ科目が豊富に用意されており、実践的なスキルを着実に身につけることができます。1年次からデータ分析の基礎を体験的に学ぶことができ、数理データサイエンスの素養を早期に培えます。
- 社会との繋がりを意識した学び: 地域社会や企業との連携プロジェクトなどを通して、社会実装を見据えた学びや研究活動に取り組む機会があります。情報技術だけでなく、社会における倫理や法制度についても学ぶことができ、技術を社会に応用する際の課題意識を持つことができます。
卒業後の進路・就職先
- 静岡大学大学院総合科学技術研究科への進学
- トヨタ、デンソーなど中部圏の大手製造業
- IT企業(ソフトバンク、、富士通など)
- 名古屋市役所、静岡県庁、静岡銀行などの文系職にも広く進出可能
どんな人におすすめ?
静岡大学情報学部は、以下のような方におすすめできる学部です。
情報科学の理論と実践の両方を本気で学びたい人
静岡大学情報学部は、情報の数理的な基礎から最先端のIT技術、データ解析まで幅広く学べる環境です。単に理論を学ぶだけでなく、実験・演習やグループワークを通して実践的な技術を習得できます。プログラミングやシステム設計、ネットワーク構築などの技術力を確実に身につけたい人に最適です。
社会や人間の行動、文化を情報の視点で深く理解したい人
技術だけに留まらず、社会学、心理学、経済学など人文社会科学の知見を融合して情報を扱います。例えば、ビッグデータを通じて人の行動パターンを読み解いたり、情報技術が社会や文化に与える影響を考えたりしたい人には非常に魅力的な学びの場です。文系・理系の壁を越えて幅広い視点を持つことが求められます。
自分の興味に合わせて専門分野を深く追究し、将来のキャリアを描きたい人
情報科学、行動情報学、情報社会学といった多彩な学科から選択でき、それぞれが異なる視点・方法論で情報を学びます。自分の関心や将来の目標に応じて、柔軟に学び方をデザインできるのが大きな魅力です。大学院進学や企業での研究開発、社会問題の解決に携わるなど、将来のキャリアに直結した学びが可能です。
論理的思考力・課題解決力を鍛え、チームで協働して成果を出したい人
情報学部のカリキュラムは、単なる知識習得にとどまらず、論理的かつ批判的に物事を考え、未知の問題に取り組む力を育成します。さらに、グループワークやプロジェクトベースの学習を通じてコミュニケーション力やチームでの問題解決力も高められます。技術者としてだけでなく、社会でリーダーシップを発揮したい人に適しています。
静岡大学大学情報学部は、情報を通して社会や人間を深く理解し、変化の時代に新しい価値を生み出したい人におすすめの学科です。
もしあなたが上記のいずれかに当てはまるなら、ぜひ情報学部への進学を検討してみてください。
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