名古屋大学の「情報学部」ってどんなところ?
名古屋大学では、情報文化学部と工学部電気電子・情報工学科情報工学コースを
合わせた情報学部が2017年に設置されました。
名古屋大学情報学部は、情報科学技術に関する深い知識と、自然や社会をシステムとして理解する能力を養成し、システム思考に基づいて人類が直面する課題を解決し、新しい価値を生み出せる人材を育成することを目指しています。
学科構成(3学科)
自然情報学科では、自然現象や社会現象を情報科学の視点から理解し、データ分析や数理モデリング、シミュレーションを通して新たな発見や問題解決を目指す分野を学ぶことができます。3年次から、数理情報系と複雑システム系に分かれます。
人間・社会情報学科は、文系の知識と情報学のスキルを融合させ、現代社会が抱える様々な課題に情報技術を活用して貢献できる人材を育成することを目指す学科です。3年次から、社会情報系と心理・認知科学系に分かれます。
コンピュータ科学科では、情報科学技術の中核となる知識と技能を深く学ぶことができます。3年次から、情報システム系と知能システム系に分かれます。
学科名 | 主な学び | 進学元(入試区分) |
---|---|---|
自然情報学科 | 数理科学・量子情報学・データサイエンスなど | 理系 |
人間・社会情報学科 | 社会情報学・情報哲学・心理・認知科学など | 文系 |
コンピュータ科学科 | ネットワーク・セキュリティ・機械学習など | 理系 |
カリキュラム
全学教育科目
・大学で学ぶための土台づくりとなる科目です。
・「言語文化」や「健康・スポーツ科学」など、日常生活や教養に役立つ内容から「データ科学」や「現代教養」、「国際理解」など、現代社会で必要な知識もカバーします。
→ 自分の視野を広げ、情報を使う“人”としての基礎を育てます。
専門基礎科目
情報学を学ぶうえで必要な、理数系やシステム思考の基本をしっかり学びます。
・情報科学技術の基礎(プログラミング・アルゴリズムなど)
・自然や社会を「システム」として捉える考え方
・論理的に課題を見つけ、解決する力
→ 専門的な勉強の前に、「考える力」と「基盤となる知識」を固めます。
学部共通の専門科目
情報を扱う専門家として欠かせない社会的な視点や英語での発信力を養います。
・情報倫理と法(プライバシー・著作権など)
・社会とのインタラクション(情報が人や社会にどう影響するか)
・アカデミック・イングリッシュ(研究や発表に必要な英語)
・マネジメント(チームでの問題解決やリーダーシップ)
→ 情報を「ただ使う」だけでなく、「正しく使い、社会に活かす力」を身につけます。
学科ごとの専門科目
それぞれの学科で、より専門的な知識と技術を深く学びます。
・AI、数理モデル、ネットワーク、心理、教育メディアなど、分野ごとに内容が異なります。
→ 自分の興味・関心に合わせて、専門性を磨くことができます。
卒業研究
4年間の集大成として、自分でテーマを決めて研究に取り組みます。
・指導教員のサポートのもと、最先端のテーマにも挑戦可能
→ 大学での学びを活かし、自分なりの答えを導く経験ができます。
入試情報(2025年度入試)
一般選抜 前期日程の入試科目・配点
自然情報学科
大学入学共通テスト (950点満点)
- 国語: 国語 (200点)
- 地歴公民: 地理総合、地理探究 / 歴史総合、日本史探究 / 歴史総合、世界史探究 / 公共、倫理 / 公共、政治・経済 から1科目選択 (100点)
- 数学: 数学I・A、数学II・B・C (各100点)
- 理科: 物理、化学、生物、地学 から2科目選択 (各100点)
- 外国語: 英語(リーディングとリスニングの配点比率 3:1)、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語 から1科目選択 (200点)
- 情報: 情報I (50点)
個別学力試験 (1100点満点)
- 数学I・II・III、数学A・B・C (400点)
- 理科「物理」 「化学」「生物」「地学」から1科目選択 (300点)
- 外国語(英語) (400点)
人間・社会情報学科
大学入学共通テスト (950点満点)
- 国語: 国語 (200点)
- 地歴公民: 地理総合、地理探究 / 歴史総合、日本史探究 / 歴史総合、世界史探究 / 公共、倫理 / 公共、政治・経済 から2科目選択 (各100点)
- 数学: 数学I・A、数学II・B・C (各100点)
- 理科: 物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎 から2分野選択 (2分野で1科目とする) (100点)
- 外国語: 英語(リーディングとリスニングの配点比率 3:1)、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語 から1科目選択 (200点)
- 情報: 情報I (50点)
※理科は基礎2分野指定だが、発展1科目でも基礎科目とみなす。
個別学力試験 (1100点満点)
- 外国語(英語) (700点)
- ※数学I・II、数学A・B・C (400点)
- ※地歴「地理総合、地理探究」「歴史総合・日本史探究」「歴史総合・世界史探究」から1科目選択 (400点)
数学・地歴から1科目選択
コンピュータ科学学科
大学入学共通テスト (950点満点)
- 国語: 国語 (200点)
- 地歴公民: 地理総合、地理探究 / 歴史総合、日本史探究 / 歴史総合、世界史探究 / 公共、倫理 / 公共、政治・経済 から1科目選択 (100点)
- 数学: 数学I・A、数学II・B・C (各100点)
- 理科: 物理、化学、生物、地学 から2科目選択 (各100点)
- 外国語: 英語(リーディングとリスニングの配点比率 3:1)、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語 から1科目選択 (200点)
- 情報: 情報I (50点)
個別学力試験 (1100点満点)
- 数学I・II・III、数学A・B・C (500点)
- 理科「物理」 「化学」「生物」「地学」から1科目選択 (500点)
- 外国語(英語) (300点)
自然情報 | 人間・社会情報 | コンピュータ科学 | |
合格の目安偏差値(河合塾) | 60.0 | 60.0 | 62.5 |
共通テスト得点率(河合塾) | 83% | 80% | 84% |
個別試験配点比率 | 54% | 54% | 54% |
学校推薦型選抜の入試科目・配点
大学入学共通テストの利用科目
大学入学共通テストで利用する科目は、一般選抜と同じです。
- 自然情報学科: 6教科8科目
- 人間・社会情報学科: 6教科8科目または7教科8科目
- コンピュータ科学科: 6教科8科目
選抜方法
選抜は、第1次選考と第2次選考によって行われます。
- 第1次選考
- 提出された志願理由書、学校長からの推薦書、調査書、大学入学共通テストの成績を総合的に評価し、第1次選考合格者(面接受験者)が決定されます。
- 第2次選考
- 第1次選考合格者に対して面接が実施されます。面接では、志望理由、学習意欲、適性、将来性などが評価されます。
※詳細は必ず最新の募集要項をご確認ください。
名古屋大学 情報学部のメリット
- 文理融合の教育: 情報学という大きな枠組みの中で、様々な分野の教員が所属し、文系・理系の枠を超えた幅広い教育を提供しています。
- 多様な専門分野: 3つの学科(自然情報学科、人間・社会情報学科、コンピュータ科学科)があり、それぞれの専門分野を深く学ぶことができます。
- 最先端の研究: 「実世界データ循環学」や「ポジティブ情報学」といったプロジェクトを推進し、社会実装とユーザーからの評価を循環的に繋げる研究や、AI化された未来社会における人間と社会の幸福の実現を目指す研究など、最先端の情報学研究に取り組んでいます。
卒業後の進路・就職先
- 名古屋大学大学院情報学研究科への進学
- トヨタ、デンソーなど中部圏の大手製造業
- IT企業(NTTデータ、楽天、富士通など)
- 国家公務員、地方公務員、マスコミなどの文系職にも広く進出可能
どんな人におすすめ?
名古屋大学情報学部は、以下のような方におすすめできる学部です。
情報科学・技術に強い興味がある人
- プログラミングが好き、または興味がある
- コンピュータの仕組みや最新技術に興味がある
- AI(人工知能)、データサイエンス、IoT、Web技術などに興味がある
- 情報技術を使って社会の課題を解決したいと考えている
論理的思考力や問題解決能力を鍛えたい人
- 物事を筋道立てて考えることが好き
- 複雑な問題を分析し、解決策を見つけ出すことにやりがいを感じる
- 数学や理科が好き、または得意
- 新しい技術や知識を習得することに意欲がある
文理融合の幅広い視野を身につけたい人
- 理系の知識だけでなく、文系の分野にも関心がある
- 社会現象や人間の心理などを情報科学の視点から理解したい
- 多様な価値観を持つ人々と協力して学びたい
- 将来、文系・理系の枠を超えた分野で活躍したい
将来の進路を幅広く考えている人
- IT業界だけでなく、様々な分野で情報科学の知識を活かしたい
- 研究者や技術者だけでなく、企画・開発、コンサルタントなど多様な職種に興味がある
- 大学院に進学してさらに専門性を深めたいと考えている
名古屋大学情報学部は、情報科学の基礎から応用まで幅広く学ぶことができるだけでなく、文理融合的な視点や実践的な学びを通して、社会で活躍するための総合的な力を身につけることができる学部です。
もしあなたが上記のいずれかに当てはまるなら、ぜひ情報学部への進学を検討してみてください。
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